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伊藤 剛
NTT出版
¥ 2,520
(2005-09-27)
Amazonランキング:
110946位
Amazonおすすめ度:
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漫画に関する評論。"皆ごちゃ混ぜにしているけど、キャラとキャラクターは違うものだぞ"と提唱して評価された評論らしい。
著者が言うには、
キャラクターっていうのは “
「キャラ」の存在感を基盤として、「人格」を持った「身体」の表象として読むことができ、テクストの背後にその「人生」や「生活」を想像させるもの” ということらしい。
ある映画の中で、最初引っ込み思案で臆病な主人公が苦難を乗り越えてたくましい人間へ成長するというような、人間の内面に関わるものかな。
人間味というか。ストーリーと密接につながっていることが重要でもあるらしい。
対して
キャラというのは、“
多くの場合、比較的に簡単な線画を基本とした図像で描かれ、固有名で名指されることによって(あるいは、それを期待させることによって)、「人格・のようなもの」としての存在感を感じさせるもの” と定義している。
「漫画とかで出てきた男の登場人物を、女にしてみたらどうなるかと考える。そのときに想像されて残るものがキャラだ。」みたいなことをどっかで誰かが言っていた。
もしも、小島よしおが女でオフィスで働いていたら? ・・・うーん、きっと人の領域にズカズカ踏み込んできたり、たとえ仕事で失敗してもなかなか謝らなかったりと腹立たしいのだろうなあ――と、このように想像できる
人格のようなものがキャラだと。こちらはキャラクターとは異なって、ストーリーとは関係ない。ストーリーがなくてもキャラは認識できる。
■
で、初期の漫画やアニメの登場人物というのはミッキーマウスみたいに可愛い
キャラでしかなかった。矢が刺さったり、岩に潰されてもぺちゃんこになるだけで決して死ぬことはない "不死身のお化け"。
登場人物=キャラ
そこに手塚先生は人間味(
キャラクター)を導入したと。
アトムを例に挙げれば、アトムも初期の漫画同様 外見は可愛い
キャラ。人間とはかけ離れている。見ている側は
"不死身のお化け" (キャラ)としてアトムを認識する。そんな "不死身のお化け" であるアトムが、人類を救うために太陽に突っ込んで死んでしまう。
人間離れした "不死身のお化け" であるがゆえにできることがある――空を飛べるし、10万馬力の怪力を持つ。アトムは、そのキャラゆえの特徴を生かして、自分が犠牲になって皆を助けるという人間味溢れる行動を取り、深みある
キャラクターとなる。虚構の産物でしかないのだけれど、見ている側は「死なないでー!」と叫んでしまう。そういう構造になっていると。
登場人物=(キャラ+キャラクター)
手塚先生によるこの作戦が大成功したがゆえに、手塚先生の登場以降、キャラもキャラクターも区別されず一緒くたのものとして扱われ始めた。
1989年が一つの区切りだと言われたりするようだけれど、そのあたりでストーリー(例えばキャラクターの成長とか・・)は出尽くしてしまった。そこにどんなストーリーが描かれていようとも、ありふれたものとして捉えられ萎えてしまう。だから、最近の漫画はつまらないといった評論が出てくる。
でも、ONE PIECEみたいに大ヒットする漫画はその後も生まれ続けている。
なぜか?
最近の漫画はつまらないと言っているような人達は、キャラとキャラクターを区別せず同じものとして考える。つまり、登場人物に必ず
キャラクターの成長を見て取る。そういう見方をしていたらつまらないのも当然。ストーリーなんて出尽くしているのだから、キャラクターの成長なんてどれもありふれたものに見えてしまう。
でも、オタクに代表されるような現在アニメや漫画を消費している人達っていうのは、そういう見方をしているわけではない。
キャラの次元で捉えている。極端なことを言ったら、ストーリーなんてどうだっていい。出てくる登場人物のキャラに可愛いと反応するのか、面白いと感じるのか。「こんなキャラは今までなかったなあ」とか、「このキャラの行動に萌えてしまうなあ」とか。
つまらないと嘆く評論家 ・・・ キャラクター ⇔ 人間の成長
オタク ・・・ キャラ ⇔ 過去の作品のキャラ
こんな風にお互い依拠しているもの、見ている部分が違うんだから、同じ作品でも印象が全然変わってしまうということが起きているんだよと。
受け手の読みの多様性。作品をいかに面白く読むか。面白い読み方をどう提案できるか。送り手からどんどん受け手主導の時代になってきているのかなあと思う今日このごろ。
■
もっと詳しく知りたい方は、この本の “第三章 「キャラクターとは何か」” を読まれると良いと思います。現前性のお話も興味深かったです。
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